［探検前］
植杉隊員「ねー、田中隊員。隊長から新しい依頼状が届いたよ！ん…？今度の探検地のヒントは、『オレンジ色の屋根にフォークのイラストが描いてある可愛らしいお店』か…。田中隊員、心当たりある？」

私「心当たりあるよ！東経大の近くに、屋根にトッポッキがささったフォークのイラストが描いてある可愛いお店があるよ。確か、屋根はオレンジ色だった気がする！」

植杉隊員「きっと、そこに違いない、行ってみよう！」

私たちは後日、高久隊員と、私と同様に食べ歩きTrip初参加の長橋隊員と一緒にお店に向かった。

お店の前に着くと、あのニコッとした笑顔のフォークのイラストが私たちを迎えてくれた。

長橋隊員「わあ！隊長が言っていたように、可愛らしいお店だね。早速、中に入ってみようよ！」

店内は比較的に明るく、壁にメニューが大きく掲示されていた。

高久隊員「ふむふむ…。どうやら、韓国料理屋さんみたいだな。どのメニューも美味しそうだ」

私「さすが高久隊員！食べ歩きTripの参加が２回目だけあって、観察力が優れているね。それで、みんなはどのメニューにするか決まった？」

植杉隊員「俺は、トッポッキに決めた！やっぱり、お店のイラストにもなっているから、食べてみたいし。長橋隊員は決まった？」

長橋隊員「私もトッポッキにしようかな。チヂミとも迷ったんだけどね～」

高久隊員「じゃあ、俺はそのチヂミにしようかな。やっぱり韓国料理にチヂミは外せないし…！」

私「みんな決まったみたいね。私もチヂミにしよっと。すみませ～ん、注文いいですか～？」

私たちの視線に気が付いた男性店員さんが私たちのテーブルに来てくれた。
すると、申し訳なさそうな顔で、プリントが貼ってある壁を指さした。

…なるほど、このお店は耳が不自由な店員さんが働いているお店なんだ。
そう分かると私たちは、メニューを指さして注文し、出来上がるのを待つことにした。

思えば、店内はすこし物静かな感じがするな…。
でも、それ以上に、店員さんがひとりで一生懸命に料理を作っている姿を見て、彼が作る料理がどんな味なのかワクワクした。

そんなことを思っていると、店員さんは笑顔いっぱいの顔で、出来上がった料理を運んできてくれた。

植杉隊員「田中隊員！このトッポッキ、チーズがかかっていて超うまいよ！」

私「いやいや、このチヂミだってモチモチしていて、すごく美味しいよ！ね、高久隊員？」

高久隊員「うん！この前行った『だんごの輪島』のだんごもモチモチしていて美味しかったけど、このチヂミもモチモチしていて、本当に美味しい！長橋隊員のトッポッキも、甘辛のタレがかかっていて美味しそうだね」

長橋隊員「うん！トッポッキのもっちりとした食感と、この甘辛のタレが絶妙にマッチしていて、すごく食べやすいよ！」

私たちは食べ終わると、店員さんに「美味しかった」という気持ちと、「ごちそうさまでした」という言葉をかけたくて、その方法を考えずにはいられなかった。

長橋隊員「何かいい方法はないかな…？」

高久隊員「あっ！スマホに文字を入力して画面を見せれば、耳が聞こえなくても気持ちが伝わるんじゃないかな？」

私「それいいアイデアだね！」

私たちは早速スマホに文字を入力し、会計が終わったときに、気持ちを書いたスマホの画面を見せた。

すると店員さんは、とても優しい笑顔で笑ってくれた。
言葉にはしないものの、それはまるで「ありがとう」と言っているようだった。

植杉隊員「どのメニューも1000円以内で食べられるし、学生割引もあるみたいだから、もっともっと多くの人に食べてもらいたいな」

私「そうだね！言葉を伝える手段はたくさんあるしね！」

私たちは、お腹いっぱいになった満足感と、店員さんの笑顔を見られて「しあわせ」な気持ちになり、「しあわせトッポッキ」を後にした。

—―――隊長――――

ふむふむ、しあわせトッポッキ。とにかく居心地が良さそうな、かわいらしいお店じゃのぉ。

いやー、それにしても植杉隊員が食べているトッポッキ、美味しそうじゃ。
それに高久隊員、長橋隊員による絶妙なコメントが、わしの食欲をかきたてるのぉ。

料理を食べ終えた隊員たちは、とても満足そうじゃな。
なんだか見ているこっちまで幸せな気分になってきたのぉ。
よし、わしも早速行ってみるとす…

ん、何じゃ田中隊員から連絡が…ふむふむ、そうなのか。
実はこのお店、昨年をもって閉店してしまったそうなんじゃ…

わしも一度行ってみたかったのぉ、残念じゃ。

さて、次はどの隊員に依頼状を送ろうかのぉ…

おっ、そうじゃ！新たにもぐもぐ探検隊に加入した２年生に送るとしようかのぉ！
まずは、あの３人組に探検してきてもらおうではないか! ホーッホッホッホッホ!!